社会人として強くなるとは
社会人として強くなるとは(上杉視点)
いや、思い出すだけで笑けてくる。吾輩が社会人デビューしたあの時代。保険営業という、いかにもブラックそうな仕事でスタートしたわけだが、まぁ、なんというか、今思えば壮大なコントのような社会人生活だった。語りきれんくらい話はあるのだが、今日はそんな地獄の一年目の話。
新人時代に任されたエリア、たかが100世帯程度。2時間あれば全家庭ピンポン押し倒せる規模。そんなん聞かされた瞬間、「おいおい、さすがの吾輩でもこんな小さなエリアを一年かけて開拓するの?できるかー!断られたら行けんくなるのに100世帯って⁉︎少なすぎるやろ?」と正直キレかけた。でも、まぁしゃーない、やってやると心に決めた。結果的には、そのエリアのせいで人生のどん底を味わうことになるんやけどな。
最初の頃は、毎日が新しい発見と挫折の連続やった。朝から晩まで歩き回って、ドアを叩いて、笑顔を振りまいて、それでも9割以上は断られる。「いらない」「忙しい」「帰れ」。そんな言葉を浴びせられ続けて、夜になると「俺、なんでこんな仕事選んだんやろ」って泣きそうになる日々。
でも、そんな中でも、たまに「ありがとう」って言ってくれる人がおる。その一言で、また明日も頑張ろうって思える。そういう小さな喜びを積み重ねていくうちに、少しずつやけど、自分の中に変化が起きてきた。断られても平気になってきた。むしろ、
「次は絶対に契約取るぞ」と闘志すら湧いてくる自分になった。
地獄のデビュー戦
そんなことを言っておきながら、当時を美化して振り返っても地獄だったと言える。戻りたいなど思うわけがない。いやもう地獄ってこういうもんやったんかと、全身で実感した一年やった。夏場なんか、靴底が熱で溶けるって知っとるか?普通は「靴がボロボロ」くらいのエピソードでドヤる営業マンが多いけど、吾輩クラスになると「靴が液体化」するレベルやからな。
これ、マジやぞ。履いてる靴がコンクリの熱で靴底のゴムが溶けてガムのようになる。これを「プロの営業」と言わずしてなんと呼ぶ。
(靴の底が穴が開いて通気性が良いように感じるが、実際は悪臭なのだ。経験者しか知らない、本当に必要のない豆知識なのだ)
そして、そんな靴で一日中歩き回る。朝から晩まで、お客様の家を回って、断られても断られても諦めずに。そんな生活を毎日続けるんやから、靴が溶けるのも無理はない。
育成制度?そんな甘っちょろいもん、あるわけがない。「新人やから誰か教えてくれる」とかいう幻想、秒で消えたわ。すべて自分で考える。お客様に質問されるやろ?どうにか誤魔化す。それでオフィス帰って猛勉強して、次回は「いや、それ、前から知ってましたけど?」みたいな顔して堂々と答える。まぁ、きっと相手にはバレてるんやけどね。それでもとにかく歯を食いしばって努力はした。死ぬほど頭を使った。どうやれば話を聞きたいと言わせられるかと必死になった。
成績?もちろんトップクラス
そんな環境で、最後にはどうなったかって?そりゃもう、エリアの信頼を独り占め。まるで伝説の営業マンみたいな扱いや。「あの人やったら信用できる」「上杉さんなら安心」って声が、エリア中に広がっていった。もう、まるで映画の主人公みたいな展開。
まぁ、吾輩の人生そのものが映画なんだけどね。
契約は取るわ、信頼は得るわで、気付けばトップクラスの成績叩き出しとった。数字で言うとな、吾輩が担当した100世帯ほどの小さなエリアで、なんと3割近いシェアを獲得してしまった!これがどれだけすごいかって?普通、新人が1年目で10%も取れればいい方。それを3倍近く上回る成績を出したんやから、もう営業部長の顔が歪むくらいの快進撃やったわけよ。
他の営業マンの反応?もう哀れを通り越して、「あいつ、なんなんや…」って感じやったな。同期たちも「さすがやな」って褒めてくれるんやけど、裏では必死こいて俺の秘訣を探ろうとしてきた。まぁ、秘訣なんてないんやけどな。ただひたすら泥臭く、根性で這い上がっただけ。そもそも1年目の人間が秘訣なんてあるわけがない。どれだけ泥臭くやるかが大事なのだ。
結局のところ、100世帯っていう小さなエリアやったからこそ、こんな快進撃ができたんやと思う。大きすぎず、小さすぎず、ちょうど良かった。毎日同じ顔を合わせて、少しずつ信頼関係を築いていく。そんな地道な努力が、最後には大きな実を結んだってわけよ。あれが大きなエリアで好き勝手に動いていいとなると、中途半端に行き当たりばったりの活動になってしまったと思う。
この辺りは育てる気がないと言っておきながら、なかなか策士な育成をかましてくる第一生命だなとつくづく思う。
泥臭さは美学
ここで言いたいのは、最初から「自分は何でもできる」みたいなプライド、そんなもん捨ててしまえという話。「こんな仕事は自分に向いてない」とか「環境が悪い」とか、そんなもん甘えだ。まず、そんな考えを頭から叩き出せ。
ほんとに大事なのは、目の前の仕事に全力で取り組むこと。どんなに泥臭くて、くだらないと思えることでも、とにかくやり抜く。そうすると、不思議なことが起こるもんだ。
最初は嫌々やってた作業が、だんだん面白くなってくる。「こうしたらもっと効率よくできる」とか「ここをこう工夫したら、もっと良くなる」って考えるようになる。そうやって、泥臭い作業を積み重ねるうちに、それが美学に変わる瞬間が来る。
そして、ある日突然気付く。「あれ?俺、この仕事めっちゃ上手くなっとるぞ」って。そう、泥臭さを極めた先に、天才が待っているのだ。「あ、俺、ちょっと天才かも」って思える瞬間が絶対に来る。
だから、最初からプライド高く構えるんじゃなくて、まずは目の前のことを必死でやり抜け。そうすれば、いつかは自然とプライドが湧いてくる。それも、誰にも否定されんような、本物のプライドが。
今だから言えること
実は今でも、保険会社辞めた吾輩に相談がくることがある。「保険の見直し相談乗ってくれる?」とか言われた日にゃ、そらニヤけるわけだ。最初に訪問した時は、塩撒くような感じで対応したくせに、今じゃ頼りにされてるんやから、人生何が起こるかわからんもんだ。そういや、先日も昔のお客さんから電話がかかってきた、「上杉さん、あの時の保険のおかげで助かったわ」だって。泥臭く頑張った日々が報われた気がして、思わず涙が出そうになったわ。そんな涙もろい江戸っ子気質もあるのが上杉なのだ。
こんな風に感謝されるようになるまでには、本当に長い道のりだった。断られ続けて、雨の日も風の日も歩き回って、靴底溶かして…。そんな経験があったからこそ、今の自分がある。だからこそ、君たちにも伝えたい。
「最初から理想を探すな。まずは目の前の現実に全力でぶつかれ。そして、その泥臭い経験が、後になって最大の財産になる。」って事。プライドなんてな、後で拾い直したらいい。大事なのは、今この瞬間やるかやらんか、それだけ。今は辛いかもしれん。でも、その辛さを乗り越えた先に、本当の自分の価値が見えてくる。
何度も言うが靴溶かしてた頃の話。あの時は「こんなことして何になる」と本気で思っていた。でも今思えば、あの経験が吾輩を作った。だから君らにも言いたい。靴溶かすくらいの勢いで頑張れ!靴なんて、また買えばいい。でも、その経験は二度と買えんのだ。
そして忘れてはいけないのは、今辛い思いをしながらもそれでも必死に頑張る君になら、いつか必ず報われる日が来る。今は泥臭く、汗臭く、時にはただ臭いだけ日もあるかもしれん。でも、そんな日々を積み重ねていけば、いつかは誰かの人生を変えるような仕事ができるようになる。そんな日を夢見て、今日も明日も、全力で頑張り続けてみろ。
まだまだやれるだろうが!この青二才がーーーーー